会社の同期に連れられて、はじめてテニミュに行ってきた。チケットを取ってくれてありがとう。
私の経験について以下に少し書いておく。
・テニミュは初めて、曲は大体知っている(もともと空耳動画で知っていたのと、予習して行った)
・2.5次元ミュージカルはあんステ(あんスタのミュージカル)に行ったことがある
・漫画原作のミュージカルだと、デスノートと王家の紋章に行ったことがある
概要
9月23日(月・祝)マチネ 東京ドームシティホール
ミュージカル「テニスの王子様」3rd season 全国大会 青学vs.立海 前編
キャストは多いから公式サイトを見て。
あらすじ
主人公リョーマ君の所属する青学テニス部の全国大会決勝戦当日、リョーマ君は何故か記憶喪失になってしまっていた!先輩たちの試合の結果、2-2となり、リョーマ君と立海の部長である幸村先輩の試合を残すのみとなった。後編に続く・・・
感想
正直、全体的に単調だなと感じてしまった。
当たり前だけど、ずっとテニスしている。曲も結構似たような感じ(何でそういう印象を受けるんだろう?)。ただし、ミュージカルでは一般的な同じフレーズの違う場面でのリフレインはあまりない。
劇中で4つの試合が登場するけれども、全員、感情が「友情・努力・勝利」しかない。差異化されているのは記憶を失ったリョーマ君だけ。最後の方でリョーマ君が「なぜ皆はそんなに勝利を追い求めるのか?」という問いを発するところが一番重要な部分だと思うけれども、結局解決されないまま前編は終わってしまうので悲しい。
テニミュは、物語というより、スポーツの試合を鑑賞することに近いのかもしれない。
あと、衣装が各学校のユニフォームなのも、キャラクターが見分けにくいのであまり舞台向きではない。こう考えていくと、スポーツ漫画ってかなりミュージカルに向いていない題材なのではないか。ただし、照明を使ってテニスのボールを表現する方法はかなり上手くいっていて、本当にテニスに見えた(本物のテニスを見たことがないけれど)。キャラクターが前に出てくるとネットが避けるようにして後ろに下がったり回転したりするのも面白かった。たぶん、ネットが動いているのではなくカメラ(=我々の視点)が動いているという表現なのだと思う。
乾くんと柳くんは幼馴染、とか、人間関係については原作を知らないと分からない部分も多かった。数十人の群像劇というのはとうてい2,3時間に収まりきるものではないので、それぞれの試合は各キャラクターのドラマの中のほんの一部分でしかない。そのため、描かれている場面までの経緯については(少し回想シーンが入るものの)観客の知識で補う必要が生じている。
ドラマとしてスッキリさせるためには、「全国立海」のように時系列ごとに区切るのではなく、特定のキャラクターのエピソードに絞った方が良いと思う(宝塚のベルばらみたいに「リョーマ編」とか「不二編」とか)。しかし、そのような構成にすると主要キャラクターの出番が多くなり、現在のテニミュを演じている若手ミュージカル俳優では演じられない役柄になってしまう。個人的には、主要キャラは若手ではない俳優さんが演じて、出番の少ないキャラで若手が経験を積めばいいのではと思う。
全体のストーリーよりも各キャラの出番重視、という面ではキャッツが近いかもしれない。でも、キャッツはロイド=ウェーバーの名曲で成立している舞台だからなあ・・・
全国立海だけで前後編に分かれているのは嬉しくなかった。いくつかに分かれている芝居って他にあるだろうか?舞台を見るときは、映画よりも自分から入っていかないといけないので、流れが途切れることはなるべくしないでほしい。
その反面、ストーリーにいらないよねと思う部分が多い。四天宝寺の面々はいなくても成り立つと思う(もちろん彼らのファンを呼ぶためなのは承知のうえ)けれども、3曲くらいあった。「日替わり」(2幕始めにある漫才のパート)も、あんまり笑えないからない方がいいな。(これも、繰り返し来てくれるファンのためなのは分かっている。私を連れて行ってくれた友人は同じ公演の8回目だと言っていた)
ファンというか繰り返し来場するマニアに来てもらう収益構造なのだろうけど、そのせいでまとまりが悪くなってしまっているのはいただけない。一個の洗練された作品が見たい。けどそれだと儲からないんだろうな。
文句ばかり書いているけど、わりと楽しめたし、やっぱり終わってしまうと寂しく感じた。一番好きな曲は柳君と赤也君の曲と、最後のアンコールの曲「頑張れ負けるな必ず勝て」かな。
赤也君をやっている前田隆太朗さんは歌も演技も上手かった。菊丸君役の田口司さんと大石君役の江副貴紀さんはイキイキとしていて良かった。幸村先輩は、増田俊樹さんのイメージが強いけど立石俊樹さんも動きが優雅で素敵だった。
かわいい男の子たちを応援するという面では楽しかったけど、ミュージカルに求めているものがあまりないという点でNot for meな舞台だったなという感想でした。
See also:
だんだんテニミュ好きになっている様子が分かりますね・・・