RED & BLACK

観劇日記

FGOの鯖が登場するミュージカルをまとめてみた

Fate Grand Order(FGO)というゲームがありまして、歴史や伝説上の人物などを呼び出して「サーヴァント(通称鯖)」にして戦うという話です。

FGOの鯖ってミュージカルになっているの多くない?」というTweetをみて確かにと思い、FGOの鯖が出てくるミュージカルをまとめてみた。

 

物(サーヴァント) 元ネタ ミュージカル 初演 一言
マリー 史実 ベルサイユのばら 日本 1974 宝塚一番のヒット作。
    マリー・アントワネット 日本 2006 東宝がクンツェ&リーヴァイに作ってもらった作品。
    『1789-バスティーユの恋人たち』 フランス 2012 主人公は革命側ですが。
アマデウス 史実 モーツァルト!』 オーストリア 1999 クンツェ&リーヴァイコンビ
    モーツァルト フランス 2009 ロック・オペラの方。サリエリも登場
マタ・ハリ 史実 マタ・ハリ 韓国 2016 ワイルドホーン作曲。
アナスタシア 史実 『アナスタシア』 アメリ 2017 今度シアターオーブに見に行く!
アーサー王関連 伝説 『スパマロット』 アメリ 2005 モンティ・パイソンの舞台化。
    エクスカリバー

スイス/

韓国

2014/

2019

アイヴァン・メンチェル&ワイルドホーン
ジャック 伝説 『Jack the Ripper』 韓国 2009 初めて知ったけど、日本公演もされてたらしい。
ファントム 創作 オペラ座の怪人 イギリス 1986 ていうかこれが出典。
フラン 創作 フランケンシュタイン 韓国 2014 見てない・・・
ジキル/ハイド 創作 『ジキル&ハイド』 アメリ 1990 去年韓国で見ました。
エドモン・ダンテス 創作 モンテ・クリスト伯 スイス 2009 ワイルドホーン作曲。

 

あれ、意外とあんまりいなかった!・・・もっと知っている人いたら教えてください。

 

ミュージカルの本場であるアメリカやイギリス発のものは少なく、日本・韓国・オーストリア・フランスのミュージカルが多い。ヨーロッパでヨーロッパの歴史を主題にしたミュージカルが多いのは当然として、日本や韓国でも歴史ものがウケている。日本や韓国では、そもそもミュージカル自体が「舶来物」であり、ミュージカルを見る層とヨーロッパの歴史やら古典やらをありがたがる層が一致しているのだろう。特に、日本ではベルばら以来の伝統でフランス革命ものが依然として大人気ですね。マリー・アントワネットは出てこないけど、ワイルドホーンが宝塚のために作曲した『ひかりふる路〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』もある。宝塚にはいろいろ歴史ものがあるそうですが、キリがないのでヒットしなかったものは上の表には記載しなかった。

 

歴史ものや古典もののミュージカルを量産している作曲家のフランク・ワイルドホーンやシルヴェスター・リーヴァイ&ミヒャエル・クンツェのコンビは日本や韓国でめちゃくちゃウケている。1996年にリーヴァイ&クンツェの『エリザベート』が1996年に宝塚で、2000年に東宝で上演され、これを皮切りにウィーンミュージカルやフレンチミュージカルが日本で受容されはじめた。ちなみにワイルドホーンもエリザベート皇后の息子を主人公に『ルドルフ ~ザ・ラストキス~』を作っていて、さすがに二匹目の泥鰌狙い感を感じる。最近では日本や韓国から作曲依頼するケースも多い。上の表に記載したものでは『マリー・アントワネット』や『マタ・ハリ』。他にも、ワイルドホーンは『DEATH NOTE』を、リーヴァイに『王家の紋章』を作曲しており、漫画原作だけど他の2.5次元ミュージカルとは違うんですよ感を出してきている。ちなみにワイルドホーンは宝塚出身の女優さんと結婚している。

 

エリザベート』や『1789』もそうですが、最近アメリカで『ハミルトン』が大ヒットしたり、韓国でも『1446』や『英雄』があったりと、自国の歴史もの自体は多い印象。日本の歴史ものでは、劇団四季の昭和の歴史三部作(『李香蘭』『南十字星』『故郷の丘』)がありますね。浅利慶太が亡くなって今後どれくらい上演されるか心配ではありますが・・・『李香蘭』には川島芳子が登場するけど、FGOの漫画オリジナル鯖が川島芳子なんじゃないかと炎上したことがあった。戦国時代や幕末を舞台にしたミュージカルがたくさんあるんじゃないかと思ったんですが、意外と直球でヒットしたやつは少ないのですね。『刀剣乱舞』シリーズで幕末が舞台のものがあるそうなんですが、土方歳三沖田総司本人は登場しないみたい(所有していた刀は登場する)なので上の表には入れませんでした。

 

あと、歴史ものというか分かりませんが『ジーザス・クライスト・スーパースター』もあるな・・・。絶対FGOには登場しなさそうだけど。古典が原作のミュージカルではユーゴーが原作の『レ・ミゼラブル』『ノートルダムの鐘』(ディズニーの方)、『ノートルダム・ド・パリ』(フランスの方)がある。アメリカでは、ディズニーを始めとしたアニメが古典をミュージカルしているのでブロードウェイでは盛り上がらないのかも。

 

ミュージカル以外の舞台作品でFGOの鯖が登場するのは、ぱっと思いつく限りではこんな感じか・・・

オペラ

・『ニーベルングの指輪』(ワーグナー

・『トリスタンとイゾルデ』(ワーグナー

・『ウィリアム・テル』(ロッシーニ

・『オルレアンの少女』(チャイコフスキー

・『サロメ』(リヒャルト・シュトラウス

バレエ

・『シェヘラザード』(リムスキー=コルサコフ

・『スパルタクス』(ハチャトゥリアン

戯曲

・『アンソニークレオパトラ』(シェイクスピア

・『サロメ』(オスカー・ワイルド

・『ファウスト』(ゲーテ

 

日本の鯖は歌舞伎や能になっていそうですが、全然分からないので詳しい人がまとめてほしい。

 

ゲームや舞台などで取り上げられるような「歴史上の有名人」が必ずしも歴史的に重要とは限らないが、「大衆からの人気」はどのようにして獲得されていくのだろうか。大衆からの受容史が分かる本とか知っていたら教えてほしい。東洋人がヨーロッパの王家や貴族に憧れるようになった過程も気になる。日本では、ミュージカルはほとんど女性が見るものとされており、題材は少女漫画との親和性が非常に強いが、このへんも調べたい。

 

追記:『FGO the Stage』もミュージカルですが、触れるのをすっかり忘れていた...