RED & BLACK

観劇日記

シスターフッド物語?|ミュージカル『ウィキッド』2024年

ウィキッド』初観劇でした。

 

基本情報

2024年1月20日(土)ソワレ@四季劇場秋

キャスト

エルファバ:小林美沙希

グリンダ:中山理沙

ネッサローズ:若奈まりえ

マダム・モリブル:秋本みな子

フィエロ:カイサー タティク

オズの魔法使い:明戸信吾

ボック:緒方隆成

ディラモンド教授:田辺 容

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感想

ウィキッド』といえばタイプの違う女同士のシスターフッド物語!だと想像していたのですが。意外とシスターフッド成分が少なく、ずっと喧嘩しっぱなしなので面食らってしまった。

女たちが恋愛に振り回されすぎてて残念な感じ。エルファバは反差別の闘志でカッコよかったのに、男のために活動をやめてしまったのにはガッカリした。ネッサローズがメンヘラ化したあたりのドロドロ人間関係はリアリティがありすぎて引いてしまった。

そして、そのわりには男性キャラにそんなに魅力がない。フィエロオズの魔法使いもボックも、自分の意志が感じられず、物語を駆動させるためだけに存在している機械みたいに見えてしまった。男たちが誤った相手とセックスしたり思わせぶりな態度を延々取り続けたりしたせいで(マジで、なんでそんなことするの?)、女たちの感情がめちゃくちゃになっていた。なんなんだ。

女性同士の友情の扱い方が薄いのは、20年前の作品だから、仕方ないのだろうか・・・『アナ雪』を通過したわれわれには物足りないのか?

また、グリンダがおバカ状態から覚醒するのが遅すぎてあんまり共感できず、何が彼女を変えたのかもよく分からなかった。

 

全体的に、反差別やポピュリズム批判といったリベラルなテーマを取り扱ってはいるものの、扱いが適当で残念だった。エメラルドシティには、動物差別政策やポピュリズム政治という問題があるが、ラストシーンでもそれらの問題が解決される道が示されないので、肩透かしを食らったような気分になる。動物差別と闘っていたエルファバが国を出て行ってしまい、動物の権利はどうなったのか心配になった。それに、グリンダがオズの魔法使いを追い出した後、そのままグリンダが国のトップに居座ってるのはなんなんだ・・・エメラルドシティに民主主義は根付かないのか?

 

歌はめちゃくちゃよかった。特にエルファバ役の小林美沙希さんが素晴らしかった。正直、エルファバにも心情的にはあんまり共感できなかったのだが、"Defying Gravity"は泣いてしまった。

 

See also:

女同士の友情ということで。

iceisland.hatenablog.com

カイサータティクさんつながりで。

iceisland.hatenablog.com