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観劇日記

【感想】『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』2020年

以前から気になっていた『ブックスマート』をAmazon Primeで見た。

ちょうど中学高校のときの友人と旅行に行ってきて、今自分が見るべき映画はこれだと思って見ることにした。女子同士の友情がテーマの楽しいフェミニズムコメディで、見て正解だった。

 

あらすじ

主人公のモリーとエイミーは仲の良い女子高生。2人とも優等生で、有名大学への進学を控えている。ところが、内心バカにしていたチャラい同級生たちも、皆同じくらい良い進路に進むことが分かり、ショックを受ける。そこで、2人は卒業パーティに乗り込み、今までの分まで楽しもうとするが・・・

 

感想

とにかくモリーとエイミーの友情が見ていて気持ちがいい。違う立場の女同士の「連帯」というよりも、普通の女友達の友情のリアルな感じ。喧嘩したら仲直りしてパンケーキを食う。とにかく2人がお互いのことを褒めまくるのもいい。女の友情は本物じゃないとかいうやつにはパンチを食らわせろ。

ストーリーはご都合主義だが皆が幸せになる展開。全然悪人が出てこない。主人公たちは社会への希望に溢れた高校生である一方、人を無条件に信頼してしまう世間知らずでもある。だからこそ、彼らの世界には悪人は相応しくないのだろう。ポップな音楽に乗って展開が速いのもいい。

 

モリーもエイミーも、優等生で、ゴリゴリのフェミニストでもある。もはや、エリート女性がフェミニストなのは当然というか、あるあるネタという感じだ。『シュミガドゥーン』もそうだし。

2人の会話も部屋もフェミニストっぽいものばっかりで溢れており、ネタを拾いきれないほどだ。私が一番好きなのは、部屋に"A Room of One's Own"と貼り紙がしてあるところ(元ネタはヴァージニア・ウルフの著書)。冒頭からRBGの演説で始まり(モリーの将来の夢は最高裁判事)、終始この調子でフェミネタが投下され続ける。観客がフェミニストであれば絶対に楽しい。そうじゃない場合は楽しくないと思うが、そんなのは知ったことじゃない。

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スクールカーストガチガチじゃないのには少し驚いた。アメリカの学園モノで、スクールカースト底辺の主人公が逆転しようと頑張る話は定番で、私の好きな『ヘザース』や"Be More Chill"もその系統だ。しかし、この作品のモリーとエイミーは人気者ではないが、いじめられてるわけでもない。というか、モリーは生徒会長で、敬遠されてはいるもののそれなりに尊重もされている。人気者のニックはアメフト野郎じゃないし、ニックが付き合う相手もチアリーダーではない。レズビアンのエイミーも、ゲイで演劇クラブのジョージも、別にいじめられたりしていない。

アメリカの文化に詳しくないので完全に想像だが、アメリカの若者は、本当にこの作品のようなリベラルな雰囲気になってきている気がする。特に、この作品の舞台は、生徒皆がアイビーリーグに行くようなLAのエリート高校なので、これがリアルな雰囲気なんだと思う。

 

結構下ネタがバンバン出てくる。「私たちは性に肯定的なフェミニストでしょ?」という台詞もあるので、明らかにわざとやってるし、それはいい。のだが、レズビアンのエイミーの性生活ばかりがネタにされているのはちょっといいのか分からなかった。

 

See also:

こっちは辛い話ですが!

iceisland.hatenablog.com