絵のない絵本

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【感想】ミュージカル『ジェントルマンズガイド』2021年ソウル公演(配信)

韓国で上演されている『ジェントルマンズガイド』(A Gentleman's Guide to Love and Murder、紳士のための愛と殺人の手引き)のライブ配信を見た。

大好きなパク・ウンテさんが主演の回(はあと)!

字幕はなかったけど、パク・ウンテさんのさすがの歌唱力と演技力で、すごく楽しめた。

 

 

基本情報

2021年1月17日(日)ソワレ

キャスト

モンティ:パク・ウンテ

ダイスクィズ:チェ・ジェリム

シベラ:キム・ジウ

フィービー:ソヌ

 

2014年にトニー賞を受賞した作品。相続・恋愛・殺人という古典的なテーマを扱っている。ブロードウェイ作品のはずなのに、ストーリーもジョークも何となくイギリス的だなと思ったら、20世紀始めのイギリスの小説が原作らしい。

日本では2017年に一度だけ上演されたそうな。知らなかった。

 

あらすじ

母を亡くし悲嘆にくれている青年モンティのもとに、母の古い友人ミス・シングルが訪れる。なんと、母は大貴族ダイスクィス家の生まれで、モンティにも爵位の継承権があるという。母は、モンティの父と結婚したせいで勘当され、貧乏な暮らしを余儀なくされていたのだ。

モンティは恋人シベラに継承権の話をするが、取り合ってもらえず、逆にシベラは貧乏なモンティに愛想をつかして金持ちと結婚するという。一念発起したモンティは、自分より継承権の高い8人を抹殺して伯爵になることを決意。塔から突き落としたり、蜂に刺させたり、危険地帯に送り込んだりして、現在の伯爵以外の7人を次々に始末することに成功。また、その途中で親戚の女性フィービー(継承権はモンティより後)と知り合い、婚約する。

最後に現在の伯爵を殺そうとするが、モンティが殺すより前に、なぜか伯爵は毒を飲んで死んでしまった。晴れて伯爵になったモンティだが、伯爵の殺人容疑で収監されてしまう。死を覚悟し、牢の中で回想録を書いていると、看守もダイスクイス家の血を引いていると聞き、意気投合。

シベラとフィービーの努力によって釈放されたモンティ。実は、伯爵に毒を盛ったのは、昔ダイスクイス家で使用人をしていたミス・シングルだった。謎も解け、爵位も2人の女性も手に入れ、めでたしめでたし(?)

 

感想

演目について

大筋のテーマ(相続、恋愛、殺人)はオペレッタっぽい。地声じゃなく裏声で歌っていたり、台詞の部分でも裏でオケが演奏していたり、音楽的にもオペラ寄りっぽい。原作も20世紀前半なので、おそらくサヴォイ・オペラとかそのあたり?への原点回帰を志向した作品なんじゃないかと思った(完全に適当に書いている。詳しい人に教えてほしい。)。

 

台詞の多いミュージカルで、私は韓国語が分からないので、ジョークはあまり分からなかったが、唯一、モンティの苗字「ナヴァロ」を頑なに「ニグロ」と発音するという最悪のジョークは分かった(だよね?)

あと、インドやアフリカのステレオタイプな描写(人食い部族!)とか、ダンベルで首チョンパとか、ブラックジョークがひどすぎる。いや、殺人をコメディにする時点でブラックジョークなのか・・・イギリスっぽすぎる(これもステレオタイプ?)・・・

あと、冒頭で観客に警告したり、ご先祖が話しかけてきたりの演出も何となくイギリスっぽい。なぜか分からないけど・・・だいたい、「モンティ」という名前がモンティ・パイソンみたいだし。

 

キャストについて

モンティ役のウンテさんは当たり前だけど流石の表現力で、はじめは純朴な貧乏青年のモンティが途中からワルカッコいい金持ち野郎になってくる様子、どこを取っても素敵(はあと)だった。特に、1幕最後めっちゃカッコよかったけど、どこかで見たような・・・と思ったら『ジキル&ハイド』だね(左手わきわき)。あと、この前まで出演していた『キンキーブーツ』のローラネタもやってくれてた。

 

ダイスクイス家の人間全員(モンティとフィービー以外)の8役?9役?を同じ役者が演じるというすごい演出。このミュージカル最大の見所かもしれない。早着替えも大変。今回演じていたのは、チェ・ジェリムさん。去年『アイーダ』でラダメスをやってた方ですが、カッコいいラダメスとはうってかわって、変なおじさんたちや変なおばさんたちを演じていた。

アンサンブルの方々も8人だけで回しているのでフル出演、こちらも地味に早着替えが大変そう。

 

コメディのくせして曲は超むずかしくて、特に女声に高音がやたらに多い。これを歌いこなすシベラ役のキム・ジウさんやフィービー役のソヌさん、アンサンブルの女声陣はすごい。ソヌさんは地声が低いからなのか、ちょっと高音が不安定なところがあったけど、3重唱や4重唱のところはハモりがすごすぎて、聞いててポカーンとしてしまった・・・

フィービーが出てきてからは、シベラとフィービーが対比される演出が多く、衣装もシベラは赤、フィービーが青で分かりやすい。最後、シベラとフィービーが互いを罵りあうフリをして実は共謀しているというのは結構気持ちのいい回収の仕方だと思った。

 

演出のこと

背景はほとんど全部モニターだった。去年シアターオーブで『アナスタシア』を見たとき、今回と同様に背景がモニターで、映像が非常に綺麗なのに驚いた。今回も、背景をモニターにすることで、スマートな背景の切り替わり方とか素敵な演出ができていたのだが、いかんせん録画なのでモアレが出てしまい結構見づらかった。配信だと、役者さんの表情が見やすいのはいいが、こういうデメリットがあるのは予想外だった。

カメラワークは、さすがに配信用に撮影しているので臨場感があった。たまに煽りを入れてくれるのが、役者さんがカッコよく見えるのでナイスだった。

 

See also:

パク・ウンテさん関連はこちら。

iceisland.hatenablog.com

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