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観劇日記

ベテラン勢がうまい|ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』2023年(配信)

チェーザレ』を配信で見た。このところ、『李香蘭』、『エリザベート』と配信が続いていて忙しかったが、ギリギリ滑り込みで見ることができた。

有名な少女漫画が原作なので読んで予習してから見たかったが、3巻までしか読めず。

 

キャスト

チェーザレ・ボルジア中川晃教

アンジェロ・ダ・カノッサ赤澤遼太郎

ロドリーゴ・ボルジア:別所哲也

ジュリア―ノ・デッラ・ローヴェレ:岡幸二郎

ラファエーレ・リアーリオ:丘山晴己

ロレンツォ・デ・メディチ今拓哉

ダンテ・アリギエーリ:藤岡正明

ハインリッヒ7世:横山だいすけ

ミゲル・ダ・コレッラ:橘ケンチ

ジョヴァンニ・デ・メディチ鍵本輝

ドラギニャッツォ:本田礼生

ロベルト:健人

 

感想

ストーリーや人間関係が複雑すぎる印象だった。ボルジア家、メディチ家、ローヴェレ家、ドメニコ会という4つの勢力がいてそれだけでも難しいのに、大学ではフランス人学生たちと対立しているし、ダンテ&ハインリッヒ7世のスタンド(?)コンビも登場する。

序盤だけとはいえ漫画版を読んでから見たのでついていけたけど、初見の人は分かるのか心配になった。話のテーマとしては世俗的権力と宗教的正しさの両立だと思うのだが、直接関係ないシーンが多くて、ストーリーがごちゃついてしまっている印象だった。

脚本の荻田浩一さんは『王家の紋章』も手掛けた方らしい。『王家』の方は結構すっきりした脚本になっていたと思うけど、原作も単純なストーリーだからなあ。長いけど

どのキャラクタも魅力的だから見せ場を作りたいのは分かるけど、ストーリー的にそこまで重要でもない登場人物にも皆ソロがあって、ワーグナーみたい(悪口)。ただ、ダンテ役の藤原正明さんやジュリア―ノ役の岡幸二郎さんの歌を聴けたのは良かった。ダンテがこんなに登場すると思っていなかったので、ダンテの第一声を聞いてウマッ!?と驚いたのですが、納得の藤原正明さんでした。岡幸二郎さんも素敵、こういう繊細なラスボスの役めちゃくちゃ似合う。ロドリーゴ役の別所哲也さんも、ミュージカル役者さんではないので歌がうまいわけではないけど演技がお茶目で可愛かった。

ベテランの役者さんと若い役者さんの実力差が結構出てしまっていたように思う。中世の大学生は今の大学よりも若かったそうのだが、学生役の役者さんはもう少し上の世代で揃えてもよかったんじゃないかと思ってしまった。チェーザレ役の中川晃教さんも、上手い役者さんだとは思うのだが、学生役の若手役者さんに交じっていると、若いのに切れ者チェーザレというよりはすごく留年している先輩みたいな印象を受けてしまった。

 

音楽は結構覚えやすいメロディー。歌謡曲風なのが妙におかしかった。バラード系のしっとりした曲が多かったけど、盛り上がる曲の割合がもうちょっと多い方が私は好みだな。ロドリーゴのビバ・エスパーニャの曲(なぜかスペイン人学生たちが下で踊っている)とか、フランチェスコ団の存在感薄すぎの曲とかは、楽しくて好きだった。せっかく若い俳優さんを集めているのにダンスが少なくて、あまり2.5次元ぽくない感じがした。

歌詞が口語的じゃないのもちょっと面白ポイントだった。権謀術数とかの難しい単語やジョヴァンニ・デ・メディチとかジュリアーノ・デッラ・ローヴェレとか長たらしい人名が歌詞に入っているのが大変そう。私はけっこう好きだけど、好みは分かれそう。

 

舞台上での役者の動かし方はあんまり面白くなかった。盆回しが多く、役者さんはほぼ直立して歌うか、シンプルなセットの裏と表を階段で行き来してばっかり(伝わらない)でちょっと飽きてしまった。ダンスが少ないせいもあるけどさ。

衣装はかなり本格的で美しかった。美しい男性たちが中世イタリアの恰好をしていることで得られる栄養があるなと思った。

アンサンブルの出番が少なくて寂しいのだが、アンサンブルの出番を無理やり作っているような感じがしたので、いっそのことアンサンブルはなしにすればよかったんじゃないかと思った。特に、大学の食堂のシーンでなぜか女性アンサンブルがいて不思議だった。

 

See also:

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