『キング・アーサー』を配信で見た。フレンチミュージカルの日本初演。
歌唱披露動画を見て気になっていたけど、結局行けなかったので、配信をやってくれてありがたい。
キャスト
アーサー:浦井健治
グィネヴィア:宮澤佐江
メレアガン:伊礼彼方
モルガン:安蘭けい
マーリン:石川禅
ガウェイン:小林亮太
ケイ:東山光明
感想
変なストーリー
ストーリーは以下のような感じ。
先代の王は魔法使いマーリンの魔法を使って、部下の妻をレイプする。レイプされた女性の娘モルガンは、復讐のため、レイプによって生まれた弟アーサーをレイプし返す。一方アーサーの婚約者グィネヴィアは、アーサーの部下ランスロットと浮気。
なんだかんだあってランスロットは死に、アーサーはモルガンとグィネヴィアを国から追放し、家庭的な幸せは諦めて国のために生きていくことを決意する。
なんだこれは・・・?登場人物全員クズすぎるのでは!?
全部だいたいマーリンが悪い。モルガンが復讐するべきなのはマーリンだと思う。グネヴィアが浮気して国が大変なことになるのが分かっているはずなのに、自分の呪いが解けたからって妖精の国に帰っちゃうし、無責任すぎるやつだ。
現代人的な感覚としては、適役のメレアガンが一番共感できるかもしれない。決闘大会で勝ったのに王になれなくて、結局先代の王の息子が即位するとか、ひどすぎる。じゃあなんで決闘大会をやったんだよ。
終盤でやっと「あ~、この世界はそういう世界観なのね」と分かった。要するに、神話の世界の価値観だ。
王一人の性的逸脱のせいで、国全体が罰を受ける。運命(=神の意志)を軽視する者は滅び、運命に従う者は徳が高いとされる。
私はアーサー王伝説のこと全然分からなくて、FGO(ゲーム)しか知らないレベルなんだけど、たぶんアーサー王伝説より昔の時代の価値観なんじゃないかな。異教の神話っぽい。イリアスとか。
パフォーマンスについて
ストーリーはあまり共感度が高くないので、ショーとして楽しむ演目なのかな?曲もノリノリの曲が多いし。シリアスな場面なのに何故かノリノリの曲が多いの、楽しくて好き。ケルト風なのも雰囲気があってよい。
フランス版は舞台美術や衣装が豪華だったり、韓国版はアイドルのコンサート風でメインキャストまでゴリゴリに踊ってたりと、ショーとして派手だったのに比べると、日本版はスタイリッシュにまとまってはいるけど、ちょっと地味めかな?と思ってしまった。せめて、高いキャストを揃えてほしかったかな。もちろんうまい方もいましたが(後述)。
韓国版と同じル・オピナさんによる演出なので、てっきり韓国版のコピー演出なのかと思ったけど、そうではなくて、振付や衣装は結構違っていた。
衣装は前田文子さんで、韓国版のアイドルっぽい衣装よりも時代物寄りの衣装。ランスロットの袖に鱗があるのがかわいかった。配信だとこういう細かい部分まで見られるのが良い。
舞台美術には、ガラスに見立てたスクリーンが使われていて、オシャレだった。これは元のフランス版を踏襲しているものみたい。ケルト文様が発光する円卓も素敵。
キャストの中では、マーリン役の石川禅さんが素晴らしかった。石川禅さんは『アナスタシア』のヴラド役で拝見して「芸達者な役者さんだな~」とは思っていたけど、全方位に上手い!演技力が高く、ケイとの掛け合いも面白い。歌もめちゃくちゃうまいし声も渋くて良い。マーリンはクズだが(笑)、不思議な魅力があった。
伊礼彼方さんのメレアガンは歌が圧倒的。この高音が出せる方はあまりいないんじゃないだろうか。
ランスロット役の太田基裕さんも、演技上手くて驚いた。普段クールなのに死に際だけ甘えん坊になる演技がめちゃくちゃぐっと来た。
See also:
石川禅さんつながりで。