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観劇日記

歌詞が良すぎる|『マチルダ・ザ・ミュージカル』2022年

Netflixで『マチルダ・ザ・ミュージカル』を見ました。ミュージカル『マチルダ』の映画版。今度、舞台版の上演を見に行くので、その予習として見た。

 

ギフテッドの少女マチルダが、ネグレクト親や体罰教師とたたかう物語。

飽きさせなくて一気に見られた。展開が気になって目が離せない。配信の映画ではなかなかこんなことは起きないので、これはすごいと思った。

 

歌詞、良すぎる

"Jesus Chirist Superstar"アリーナツアー版でユダ役を演じたTim Minchin氏が作詞作曲を手掛けており、曲と歌詞がめちゃくちゃカッコいい。

特に"Naughty"の歌詞は本当に素晴らしい。素晴らしすぎるので特に素晴らしい部分を引用します。

Cause if you're little you can do a lot, you

Mustn't let a little thing like little stop you

If you sit around and let them get on top, you

Won't change a thing

Just because you find that life's not fair

It doesn't mean that you just have to grin and bear it

If you always take it on the chin and wear it

You might as well be saying you think that's it's okay

And that's not right

And if it's not right

You have to put it right...

小さくても何かできる

諦めたらそこで終わり

黙って好きにさせてたら

変わらない

人生は不公平なの

笑顔で耐えてちゃダメなの

我慢をしてたら

認めてるのと同じことよ

そんなのヘン!

おかしいなら

直さなくちゃ

すごくないですか?現代の日本社会に不足しているものが完璧に過不足なくここに書かれている。大音量で街中で流すか、歌詞を印刷してそこいら中に貼りまくり、日本中の人間の脳髄に叩き込むべきだと思う。

 

"Revolting Children"はトニー賞のパフォーマンス動画などで見て、子どもたちが団結して悪い大人を倒す歌だと思っていたので、ちょっと期待していた展開とは違って面食らった。

天才のマチルダが超能力を使って校長を倒すという展開は、ちょっとチートすぎるような気がするし、凡人が団結しても意味ないのか・・・と感じてしまって、あんまり好きになれなかった。超能力の表現は、舞台版ではどうやって表現してなっているのか楽しみではある。

あと、校長を追い出した途端、それまで校長に反抗せずむしろ規範を強化する方向に行動していた上級生たちまで"We are revoluting children"といって踊りだしたので、お前らは違うだろ!とツッコんでしまった。 

 

歌詞がABCになっている曲があるとTLで話題になっていたので楽しみにしていた。日本語版の歌詞はだいたい字幕と一緒で、歌えるようにするのが大変だっただろうな。舞台版はおそらく違う歌詞だと思うので、そちらも楽しみ。

あと、子供たちの合唱のシーンではベレー帽の上級生の子が妙に目立っていただけど、有名な俳優さんなんだろうか?

 

児童虐待について

虐待のシーンがすごく怖くて、反応に困った。

子どものとき、同じ原作者の『チャーリーとチョコレート工場』の映画を見てめちゃくちゃ怖かったのを思い出した。子供への虐待に対するフェチでもあるんだろうか?多分、ギャグなんだろうけど、怖すぎて笑えないし、どんな気持ちで見ればいいのかイマイチ分からなかった。「笑えない事態だけど笑える」系のギャグは、政治的なやつは非常に好きなんだけど、これはあんまり合わなかった。

 

本が好きなマチルダと無教養な大人たちの関係には、結構共感してしまった。本好きの子供には、反知性的な大人に人生を邪魔される経験の一度や二度はあるものだ。父親が図書館の本を破くシーンは、一番そういったカスの大人をリアルに表現していて、心に刺さった。

 

ネグレクト母や体罰校長は、子供が嫌いな女性であるという設定。特に理由なく子供が嫌いな女性キャラが登場するのが何だか嬉しかった。現実には子供が嫌いだからといって虐待するわけではないので、この描き方はちょっとひどいんじゃないかとも思うけど、子供が嫌いな女性は、存在しないことにされたり、何か理由があるに違いないと思われたりしがちなので、悪役であっても存在が無視されていないだけでちょっと嬉しかった。

出産シーンでは、異常に明るい医者や看護師たちが「子供は宝」といってわざとらしく歌って踊るが、子供を産めと押しつけがましい世間を皮肉っていて面白い。

 

舞台版では再現できないような、CGを使ったシーンが結構多かったので、舞台版ではどのように表現されているのか楽しみ。

 

See also:

Tim Minchin氏つながりでJCS。これも反体制運動の話だしね!?

iceisland.hatenablog.com

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