RED & BLACK

観劇日記

かわいくてかわいそうな子供たち|ミュージカル『ビー・モア・チル』2022年

Be More Chill日本版見てきました。

5年くらい前にサントラを聞いてハマり、紹介記事(↓)を書いたくらいには、もともと好きな作品。

iceisland.hatenablog.com

日本版が発表されてからは不安と期待が入り混じった状態だったのだが、蓋を開けてみたらレプリカ公演で、率直に楽しめた。

コロナの感染者がまた増え始めて色々な公演が中止になる中で、幕が開くまで安心できないぞ・・・とドキドキしながら行ったのだが、無事に見られて本当に良かった。

 

基本情報

2022年7月30日(土)マチネ@新国立劇場中劇場

f:id:iceisland:20220811153230j:image

キャスト

ジェレミー:薮宏太

マイケル:加藤清史郎

SQUIP:横山だいすけ

クリスティン:井上小百合

ジェイク:内海啓貴

ブルック:斎藤瑠希

リッチ:木戸邑弥

ジェナ:ダンドイ舞莉花

クロエ:ラリソン彩華

ヒーア氏/レイエス先生:ブラザートム

感想

もうね、マイケルがかわいい!!かわいすぎて、マイケルが舞台上にいる間ずっとオペラグラスでマイケルを凝視してしまった。

加藤清史郎さんは今年20歳と若くて身長も小さめで、年上かつ長身の藪さんジェレミーとの組み合わせが新鮮すぎる。だってマイケルといえばGeorge Salazarさんで、George Salazarさんって初演のとき既に30歳くらいだったはずだし、結構体格もいいし・・・こんなに小さくてかわいいマイケルがいていいの!?今回のマイケルはジェレミーのこと大好きな良い子って感じで、その点もGeorge Salazarさんの不遜で斜に構えたオタクとは一味違う。

加藤清史郎さん、小さくてかわいくてかわいそうな演技がめちゃくちゃ上手い。Micheal in Bathroomは本当にかわいそうで、小さい子がこんなにかわいそうな目にあっていいんですか?と泣いてしまった。

あと、今回のマイケルはジェレミーのことを恋愛的に好きなように見えたのでちょっと驚いた。"Two-Player Game"のYou are my favorite person~のくだりは、オリジナル・プロダクションでは(サントラを聞く限りでは)単なるおふざけという感じだったけど、今回のマイケルは本気な感じがして、やっぱりちょっとかわいそうだった。

ただ、かわいすぎて、こんな陰キャのオタクがいるか!という感じもした。眼鏡も陰キャっぽい眼鏡じゃなくて若いイケメンがかけているようなオシャレなやつだし・・・かわいいからいいけど。個人的にはピンクのハッパの靴下がツボ。あんな小さい子が大麻やって大丈夫だろうかと心配になる。

一方、藪さんジェレミーはヘタレオタクぶりが嵌りすぎていて若干引くレベルだった。ジャニーズなのに・・・先日のジョセフのときも若干ヘタレっぽかったけど、そういうキャラの人なんだろうか。

 

マイケル以外の脇役の子供たちも、総じて上手い役者さんで固まっていたので、ありがたかった。私的なMVPは、ジェナ役のダンドイ舞莉花さん。Smartphone Hourの高音の伸びが素晴らしかった。

Smartphone Hourはめちゃくちゃ楽しくて、すごく盛り上がってしまった。ジェイクの家が燃えてんのにね。背景に燃えてる家映ってるし。でも楽しい。事件とか災害でわくわくする感じ、大人になってもあるよね。

 

思春期の自意識がテーマだとは分かっていたけど、こんなに前面に出ていたとは思っていなかったので新鮮だった。自意識過剰はオタクのジェレミーの専売特許じゃなくて、所謂陽キャのジェイク、リッチ、クロエ、ブルック、クロエも、不思議ちゃんのクリスティンも同じ苦しみを抱えているんだというメッセージが直球。陰キャのオタクは、陽キャを何も考えてないバカだと思い込みたがりがちだし、オタク向けのコンテンツは洋の東西を問わずそういうものが結構あるけど、本当はそうではないとハッキリ描かれていていいなと思った。

クリスティン役の井上小百合さんも元アイドルだそうだけど、振り切った演技をしていて感心した。クリスティンはめっちゃ変な女(そこが好きなんだけど)なんだけど、演劇が社会を変える力を信じていたり、周囲の人の苦しみに敏感だったり、良い子なんだよね。他の子供たちも、サントラを聞き流していただけだと単なるいじめっ子にように思っていたけど、一人ひとりは良い子で、見終わると全員好きになっていた。

ジェレミーもマイケルも含め、本当にみんな良い子なのよ。かわいそうだけど良い子でPitiful Childrenなのよ。でも、この感想は自分が高校生をとっくに通り越して大人の目線で見ているからなわけで、もっと若い子たちに見てもらった方がいいんだろうな、と思った。太宰とか、「ライ麦畑」とか、西尾維新とかと同じで、若者のうちに摂取したほうが良いタイプの作品だと思う。

 

今回、生オケだけどオケが見えなかったので、どこにいるんだろう、と思っていたらセットの裏にいたらしい。せっかく生オケなんだから見えるところにいてくれたらいいのにと思ったけど、演出の都合で仕方ないのかな。テルミン見たかった。

大道具の代わりに後ろのスクリーンに映すタイプの演出だったので、一緒に行った友人がテニミュっぽいと言っていて面白かった。予算少な目で若者向けのミュージカルは、演出の仕方が似通ってくるのかもしれない。

 

See also:

海外ミュージカルを紹介するページ、いろいろ記事を書こうと思って作ったけど、結局HeathersとBMCを書いただけで終わっている・・・BMCは日本未公演じゃなくなっちゃったし。

iceisland.hatenablog.com

主演の藪さんつながりで。

iceisland.hatenablog.com